はじめに
こんにちは、何でも検証しちゃうエマちゃんです。
前回に引き続き、やたら高いAPYを目玉としているbybit上の商品:二重資産マイニングについて考察します。
前回の検証では、単利だと期待値が1を割っていて、複利だと資産が2%になるというやべえ商品ということを暴き出してしまいました。そして、ショートと組み合わせてもほぼ使う価値のない商品ということも考察しました。
これで検証は済んだと思っていたのですが、どうも巷では「この複利のデメリットなくす使い方だったら二重資産マイニング儲かるんじゃね?」と主張される利用の仕方がありました。
今回はその手法について考察し、その方法が儲かるのかどうか検証したいと思います。
本編
二重資産マイニングで返ってくるお金の復習
二重資産マイニングで返ってくるお金の復習をしておきましょう。
BTC/USDT, ETH/USDT, BIT/USDTのプールが二重資産マイニングにはあります。
便宜上のためBTC,ETH,BITをCryptoと呼ぶことにすると、二重資産マイニングで返ってくるお金の評価額は元のお金の
①預けた時のCryptoの価格>決済時点のCryptoの価格
(\(1+日ごとの利率)*\frac{決済時点のCryptoの価格}{預けた時のCryptoの価格}\)倍
②預けた時のCryptoの価格≦決済時点のCryptoの価格
(\(1+日ごとの利率)\)倍
です。
複利のデメリットをなくす二重資産マイニングの利用方法とは
その方法は、次のようなものです。
①二重資産マイニングの結果返ってくるお金が元の評価額より増え続ける限り複利で二重資産マイニングに回す。
②二重資産マイニングの結果返ってくるお金が元の評価額より減った場合、Crypto(BTC,ETH等)が元の価格になるまで二重資産マイニングを使わずに待つ。
これだけだとわかりにくいので、もう少し具体的に考えてみます。
二重資産マイニングのプールをETH/USDTとして、初日の契約終了時にETHの値段が預けた時点から10%下がって、次の日の契約終了時に元の値段に戻ったとします。APYは最大値である400%(日換算で1.059%)とします。
単に二重資産マイニングを複利で回すのだとすると、初日に返ってくるお金は元の評価額の
\((1+0.01059)*\frac{1-0.1}{1}=0.9098\)倍です。
よって、次の日に返ってくるお金は元の評価額の
\(0.9098*(1+0.01059)=0.9198\)倍です。
単にETHを保持しているのであればこの値動きによって評価額は変わらないはずですが、二重資産マイニングでは資産が9%もパクられてしまいます。
この値下がり後のリターンの酷さが単なる二重資産マイニング複利投資で破産する原因でした。
しかし、今回取り上げた方法では返ってくるお金が元の評価額より減った場合、Crypto(BTC,ETH等)が元の価格になるまで二重資産マイニングを使わずに待ちます。
よって、次の日のお金は元の評価額の
\(0.9098*frac{1}{1-0.1}=1.011\)倍です。
このように二重資産マイニングとガチホを上手く合わせることによって、二重資産マイニングのデメリットを相殺して、おいしく利率をいただこうというのがこの手法の狙いです。
便宜的にこの手法は、ガチホ二重資産マイニング複利法とでも名付けておきましょう。
ガチホ二重資産マイニング複利法のリターンの検証
この手法は本当に強い手法なのか確かめるために検証を行います。
検証条件
検証条件は以下のとおりです。
- 検証に用いる元データはBinanceからダウンロードしたBTC/USDTとETH/USDTの1分足データとする。
- 検証期間は2021年1月1日~2021年12月31日とする。
- 預けた時の価格は10:00~10:04の分足の終値の平均として算出する。
- 決済時点の価格は9:30~9:59の分足の終値の価格の平均として算出する。
- 二重資産マイニングのAPYは公式が最大値と言っている400%とする。
- 二重資産マイニングは、契約終了時に返ってくるお金の評価額が契約開始時の評価額を上回る限り、契約し続けるものとする。
- もし、契約終了時に返ってくるお金の評価額が契約開始時の評価額を下回った場合は、その契約で預けた時の価格が、新しく預ける時の価格以上になるまで新規契約を中止する。越したらその日から二重資産マイニングの契約を再開する。(※)
- この投資法によって得られたお金を評価額とする。
※例えば、ある日の預けた時の価格が$100で、その決済時点の価格が$80とかだったら契約終了時に返ってくるお金の評価額は契約開始時の評価額を下回ります。その場合は新しく預けられる時の価格が$100以上になるまで、ガチホして待つということです。
検証結果
まずはBTC/USDTプールでのガチホ二重資産マイニング複利法の検証結果を見てみましょう。
評価額を元資で割った倍率を変化を日ごとで追ったグラフは次のようになりました。(クリックで拡大します。)

最終的な評価額は元資の1.31倍です。一番良いときの評価額でも元資の1.84倍です。
なんとも言えない倍率です。APY400%とはとても思えないです。
比較用にBTC/USDTを2021年1月1日の価格で割ったグラフを表示してみましょう。いわば簡易的なガチホとの比較です。ガチホのグラフは灰色です。

あれ?ガチホ二重資産マイニング複利法、常にガチホグラフ以下じゃね?
いや、もしかしたら、BTC/USDTではたまたま相性が良くなかったのかもしれない。ETH/USDTのプールでの結果を見てみましょう。

ダメでした。やはりガチホ二重資産マイニング複利法<ガチホです。
この手法で二重資産マイニングを契約できた日数は55日なので、300日くらいはガチホしていたことになります。
夢は買えないし、税金で一番いいときの値段でしょっぴかれる可能性が高いし最悪な感じがします。
ガチホ二重資産マイニング複利法のリターン検証結果考察
なぜガチホ二重資産マイニング複利法とガチホのグラフがかなり似ているのか?
これは、ガチホ二重資産マイニング複利法で二重資産マイニングを契約できた日がBTC/USDTだと24日、ETH/USDTだと50日しかないからです。
残りの300日以上はガチホしていたため、ほぼガチホに近い動きをしたと考えられます。
なぜガチホ二重資産マイニング複利法はガチホ以下のリターンになったのか?
二重資産マイニングを契約した日のリターンがガチホ以下のリターンになったことが多かったからだと考えられます。
前回考察したように理論上はガチホのリターンを二重資産マイニングが超えるケースもあります。 (クリックで拡大します。)

もし決済時点での価格が預けた時点での価格*(1+日ごとの利回り)以下であれば、二重資産マイニングのリターンはガチホのリターンを上回ります。
APYが400%だったら1.059%以上上がらない限りは、二重資産マイニングの勝ちです。
しかし、検証に用いた期間では1.059%以上に上がった日が多かったのでしょう。ガチホに完敗の結果となっています。
この戦略において、二重資産マイニングの契約を停止してガチホしてから、再び二重資産マイニングの契約ができるときは、区間での最高値を更新しているときに等しいです。
そんなアゲアゲモードの仮想通貨に対して、二重資産マイニングは「自分、利率だけで良いんで。」って言ってるようなものなので、ガチホに大敗してしまったのでしょう。
そして、仮想通貨が大きく値下がりしてダラダラしているときこそ利率以上に値上がりしにくいので、二重資産マイニングを契約したいのですが、それはできません。
なぜなら、ガチホ二重資産マイニング複利法では、契約終了時に返ってくるお金の評価額が契約開始時の評価額を下回った場合は、その契約で預けた時の価格が、新しく預ける時の価格以上になるまで新規契約を中止するからです。
これが、価格が下がった後に急に戻った時の大損を避けることの対価なのでしょうがないです。もし値動きに関係なく二重資産マイニングで複利で回すなら前回の考察のとおり破産します。
終わりに
ガチホ二重資産マイニング複利法は、単なる二重資産マイニング複利運用で資産50分の1とかにならなかっただけマシとも言えます。
しかし、結果はガチホに惨敗ですし、高APYを感じさせてくれるリターンが期待できないです。アゲアゲモードのときに契約できて、ダラダラモードのときに契約できなくなるのも本質的に弱いと思います。
bybitは、運営側の利益が大きいからかこの二重資産マイニングを推す気満々で、「新しく契約できる資産も増えてますよ!」と元気にメールを送っています。

この契約によって小金くらいは稼げるかもしれませんが、現実は期待値1を下回る商品で、これだけ工夫や考察をしてもほぼ使う価値が見えない商品です。
単なるガチホでステーキングするとか、高値づかみを警戒するのだったら積立投資するとか、実は積立投資に勝ち越してるシャノンの悪魔投資するとか、別の投資の方がいいんじゃないかと改めて思いました。


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